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プライム経済リポート



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プライム経済レポート 1月号 「技術大国日本が抱える不安」


ご覧になった方もおられるかもしれないが、先日テレビを見ていたら日本でロボコンなるイベントを取り上げていた。アジア太平洋地域各国から予選を通過した大学チームがトーナメント方式でその年のテーマを基準に製作したロボットの性能を競う大会である。

2009年の優勝チームは中国ハルピン工業大学、2位香港大学、3位ベトナムチームと続き日本は豊橋科学技術大学が4位という結果となった。日本チームは過去数年優勝していないらしい。今回日本が開催会場で日本古来の籠をモチーフにした交通機関のロボットを駆使して最後は3つの和太鼓をたたいてコース終了し、速さを競うレースであった。

日本代表チームの一つ豊橋科学技術大学はチーム一丸となって努力していたが、中国チームのロボットはその性能において群を抜いており、タイムは他のチームを大きく引き離していた。

解説者の話によれば中国チームのロボットに搭載されている障害物を感知するセンサーはジャイロデジタルセンサーとか呼ばれるもので他の大学チームに搭載されるセンサーに比べて高額であるが高性能で、これが速さの秘訣ではないかと言う。事実ハルピン工業大学のロボット部に与えられる予算が大きくこういった高性能な部品を調達できるようである。

たかが大学生のロボット競争といえばそれまでであるが、ロボットは次世代技術の最先端であり、各国が必至になって開発競争を繰り広げている分野である。日本の産業構造が軽工業から重工業、そして家電、バイオ、IT産業を経てこれからのテクノロジーとして模索している大きな柱の一つがロボットであることは間違いない。

こういった大学生のイベント結果が国力を象徴していると短絡的に考えたくはないが、アジアを中心とした新興勢力が確実に日本のお家芸の分野に入って競合相手となっている事実は否定できない。

ロボット製作には優秀な学生が要る、教授陣やコーチも要る。予算も必要である。しかし何より番組を見て感じたのはチームの学生はみんな自国を代表しているというプライドとエネルギーに満ちていることだった。学生にとってロボットはもう趣味だけの域ではなく、自分の将来を左右するものである。そのハングリー精神が国の将来を支えている気がした。

日本が今後も世界経済のリーダーとしての地位を確保するにはイノベーションリーダーとしてその科学技術が進んでいること、科学技術を生むための産・官・学のコラボ体制ができていること、科学技術の基礎となる優れた教育制度が揃っていることなどが条件となる。

まず科学技術から言えば日本にはかなりの優れた技術研究が進んでいると思われる。世界中どこに行ってもものづくりの姿勢や品質管理のレベルで日本に対して疑問を抱く消費者はいない。ただしそれを特許やライセンスでしっかり保護することができていない。そのためせっかくのイノベーションが他国にすぐ無料、又は違法でコピーされてしまう。特許やライセンスの保護なしで自由競争しても生産コストの高さから勝てない現状がある。

次に科学技術を生むための、そして生まれた後そのようにビジネスモデルを組んで製品化していくかという産・官・学のコラボを見ると、近年これまでの官主導による日本型コラボが政府の財政カットや民主党による官僚政治撤廃などで影が薄くなっている感がある。また企業も長引く不景気により新たな研究開発費は年々減少傾向にある。

米国はこれまで企業とアカデミアが中心となってイノベーションを手がけてきたが、今後政府がもっとからんでくる可能性がありそうだ。
中国、インド、ベトナムなどでは今後も政府主導型の体制が拡大し、特に中国は貿易黒字をこういった投資に向けてくるとみられる。
優秀な理工系人材教育という点で、数学や科学の能力が大きく影響を与えるが、日本はいまや世界のトップレベルではない。PISAが15歳の生徒を対象に国別の学力を調査しているが、2006年の結果では日本は数学10位、科学6位となっており、上位には台湾、フィンランド、香港、韓国などが入っている。

日本はどうすれば今後もイノベーションを生み出し、ビジネスとしてつなげていける環境を整えることが出来るのだろうか。民主党スパコン問題を例に出しても政府だけにその責任を負わせるわけには行かない。またそれだけの赤字予算を組むことは長期的に次の世代に大きな借金を残すことになる。やはり産・官・学という協力体制が理想的である。政府機関や学校でスタートした基礎研究に対して企業がビジネス化に向けて応用研究を行い、これが商品化されたときに企業は利益の一部を学校に研究資金として還元する、また研究成果をあげた学校卒業生を企業に就職させる。政府はイノベーションを作り出す学校や企業に助成金、税制優遇などのサポートを行う。政府は国政に限らず、市町村、県を含めた政府機関を含んでおり、特に企業や学校誘致に関しては地方活性化のためにも地方自治体が主体となってくれることが望ましい。

また優秀な人材に関しても日本には十分な研究資金が与えられない、報酬が少ない、思い切った研究が出来ないといった制約条件から、頭脳流出することも懸念される。こういった環境整備も日本が技術大国として発展していくための大きな要因である。

戦後の日本が戦争復興を目指してハングリーな国民が一丸となって個人生活の豊かさを求め、会社の繁栄を支え、国の経済成長を推進したあの勢いを現代に求めるのは無理かもしれない。しかし私自身を含めて再び社会に勢いをつけたい、元気を出したいというスピリットを新興国の動きから学ぶことも必要だと思う。


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