ジェニファーライナー女史
「Timing is everything(全てはタイミング)」とはその中の全てに当てはまるかもしれないが、まさ に居住用不動産を語る時に最もふさわしい格言である。
その中でも季節変動は住宅の売買を考えている人にとって常時起こり得ることである。地域やその年の 景気など様々な条件によっても左右されるため、これを一般論として取り扱うことは難しいというのが 大前提にある。その上で季節変動における特徴をあげてみよう。リサーチ企業ナードワレット社の調査 では購入時期のベストは冬季だという。
同社ではリアルタードットコムに掲載されていた米国で人気のある都市部 50 地域のリスティング(売り 手掲載情報)とセール(売却情報)を過去2年間にわたって調査した。両価格は夏季に最も高く、秋に 少しおさまり冬季が最も低くなることが判明した。
特に 1 月と 2 月は夏季と比較して 8.45%ダウンと最も価格が低くなっている。全米規模で見ると、平均売 り手掲載価格は 6 月に$281,867 とピークを迎え、1 月に$258,272 でボトムに達する。
月別売り手掲載価格と売買価格のギャップ
夏の間は子供の学校が休みで気候が暖かく、休暇もとれるため引っ越しには最も適しているが、買い手 からすればその分最も価格が高い時期に購入することになる。
この時期最も在庫数が多いが、同時に買い手の数も多いため競争が激しい。そのために価格が上がりやすい。
夏から秋にかけて少し競争が収まり売買価格は中間価格帯で$8300、割合にして 2.98%下がる。しかし売り手掲載価格は 0.13%下がったに過ぎず、売買価格とのギャップは 10 月だと$18,943 と年間で最大値を記録する。
リアルタードットコムチーフエコノミストであるジョナサンスモーク氏は「秋季や冬季といったオフシ ーズンに家探しをするメリットはある。価格だけでなく、条件面でも買い手に有利である。売り手より 買い手の方が時間的な制約を受けにくいのも事実だ。」と述べている。
また 2012 年 1 月から 2016 年 8 月における在庫状況を見てみると、在庫日数が最も長い月は 1 月(107 日) と 2 月(104 日)となっている。一方 5 月と 6 月では 73.2日と最も短い。
売り手掲載価格は 29 地域で 1月が最低、19 地域で2月が最低を記録しており2つに分かれた。 さらに細かい地域においても最高月、最低月は異なり、不動産ビジネスの地域性をよく示している。 例えば東海岸で見てみると、ニューヨーク・ニュージャージー地域では最も価格が下がるのは 3 月で $369,500、最も高いのは8月の$405,000 となっている。
ワシントン DC では 6 月がピークで$400,000、ボトムは 1 月の$363,545 となっている。 その近くにあるバルチモア・コロンビア・トーソン地域では 2 月が最も低く$247,750 で最も高い 7 月は $294,000 となっている。
ロサンジェルス・ロングビーチ地域ではトップが 6 月の$535,000でボトムは$491,000 となっている。 全米で最も平均価格が高いサーフランシスコ・オークランド・ヘイワード地域では 1 月の$597,500 から 5月の$702,500 まで上昇しその差はなんと$105,000 に及ぶ。
テキサス州オースティンでは 1 月が最も低くて$232,500 であるがその1ヶ月前の 12 月に$261,969 でピ ークとなっている。つまり1ヶ月待つだけで買い手は$30,000 も得することになる。
西海岸地域別月別売買価格比較
南西地域別月別売買価格比較
東北地域別月別売買価格比較
東海岸中部地域別月別売買価格比較
南東地域別月別売買価格比較
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