アンドレアブランビラ女史レポートより要約
アップル社の最新OSではAR(Augmented Reality、拡張現実)が大きな特徴となっている。これを不動産アプリに使用されるとかなり状況が変わってくる。
ARはVR(Virtual reality 仮想現実)と異なる。VRでは全てが仮想世界であるためゴーグルやメガネなど特殊なデバイスが必要である。ARでは現実世界にデジタル情報を重ね合わせるためスマホやタブレットといった現在普及しているデバイスだけで利用できる。ポケモンGOはその代表例である。
アップル社最新OSであるiOS11にはARKitが含まれている。これによりARを楽しむことができる。現実世界にデジタル対象物をブレンドすることによりデバイスは単なるデジタルスクリーンではなく現実世界と行き来できる世界を作り出すことが可能となった。
ARを使った不動産アプリのデベロッパーの代表格にホームスポッター、ルーーミー、ハッチなどがあげられる。
以下現在出ているアプリをいくつかご紹介する。
1. ホームスナップ
アプリは“Walk the Property Lines”と呼ばれている。家の周囲を歩きながら境界線を確認できる。
https://vimeo.com/234537030
2. PLNAR
家の間取りを簡単に取ることができる。テープメジャーはもういらないというPRでプロモーションしている
3. マジックプラン
これまで同様のアプリはユーザーが止まって必要最低限の写真を撮らなければならなかったが、新しいアプリでは歩くだけで家の間取りを書き出してくれる。アプリがリアルタイムにデバイスの位置を確認しているからだ。しかもペンキ、フロアーといったDIYに必要な材料の数量を弾き出すことができる。
4. Houzz(ハウズ)
VIEW in My Room 3Dという機能を使うと50万点以上の家具やインテリアグッズをハウズショップから検索してAR上で実際に動かして部屋に合うかどうか確認できる。
ショップで3D商品だけをフィルターすれば、アプリで検索可能な家具を選択できる。もしくはグリーンの3Dマークが入った商品を選択しても良い。選択すると次に”View in My Room 3D”をクリックするとデバイスのカメラに家具が登場する。これを置きたい場所にデバイスを構えてスケール(寸法)を指で拡大・縮小することにより、実寸と合わせることができる。場所や回転など思い通りに調節が可能である。家具が気に入ればその場でオンラインショッピングできる。
VRがゲームはともかく不動産アプリで普及するにはまだ当分時間を要する。不動産ビッグデータ企業リマイン社CEOレオパレジャ氏は「VRが普及するにはまだかなりの時間がかかる。しかしARはすでにスマホやウェアラブルと呼ばれる身につけるデバイスに搭載されている。」と述べている。
現在の不動産物件情報の主力であるMLSは主に写真(少しビデオ)でユーザーにビジュアルなプレンゼンテーションを提供しているが、実際に現地で見る臨場感にはまだ程遠い。MLSでARが搭載される予定はあるのだろうか。メイン州MLS CEOキャシーリビー女史は当分その可能性はないと否定している。しかしNAR(全米不動産協会)によってMLSが情報を提供するIDX(インターネットデータエクスチェンジ)に対してAR搭載を認めれば、一気に普及することになる。IDXは物件情報をMLSでデジタル情報にする際の統一ルールを設定しており、そのおかげでMLSに関わるサイトやアプリはMLSからのデータを処理しやすくなっている。AR化に際してIDXのルールを改定する必要がありそうだ。
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