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プライム経済リポート



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プライム経済レポート 11月号 「国民皆保険」


米国は国民全員に健康保険制度がない国である。サラリーマンには企業やグループによる保険、自家営業者には個人向けの保険、高齢者にはメディケアと呼ばれる保険や低所得者用保険といった政府による保険に大きく分けられる。保険に加入していない人は4000−5000万人といわれている。 民間保険会社による医療保険は大きく分けてPPOとHMOに二分される。二者の大きな違いはPPOが専門医を含めて好きな医師を選択できるのに対して、HMOではゲートキーパーと呼ばれるホームドクターが保険会社から指定され、まずホームドクターの初診を受けてから専門医への紹介を得るという形で基本的には保険会社と契約している医師だけから診療が受けられるシステムである。

米国で過去25年間インフレは抑えられているが、例外的に医療費は教育費とともに上昇し続けている。昨年の米国における医療コストは総額240兆円に達した。民間の保険会社の保険に4人家族で加入した場合1ヶ月1000ドル以上の保険料は当たり前になっている。2020年にはさらにその2倍にまで跳ね上がるとも言われている。HMOは上がり続ける医療コストを少しでもコントロールするために創設された保険システムで、保険会社が最終的な保険請求額に歯止めをかけることで加入者を増やしている。
また既往症がある場合、症状によっては保険会社から解約されたり、新規加入できなかったりすることがある。 保険非加入者は救急病院で治療を受け(人道上米国では治療を拒否できない)支払わないままで病院の負担となる場合も多い。

こういった問題を抱えながらいまだに国民皆保険制度にならないことは日本人にとって非常に理解しがたいが、これまでの試みはすべて失敗に終わっている。古くはルーズベルト大統領時代からクリントン大統領まで主に民主党政権下で法案が出されてきたが、共和党の強い反対と民主党内でも意見が割れたため実現していない。故エドワードケネディー氏は亡くなる直前まで国民皆保険制度に全精力をかけた人物であった。

オバマ大統領は選挙公約どおり国民皆保険法案を今年中に通したい考えである。下院では僅か五票差で可決し、年末に上院通過を目指している。しかし共和党の反発は必至といわれる。時間稼ぎも考えられる。ここで米国における二大政党制の問題が大きくクローズアップされてくる。共和党はもともと雇用主や高所得者層に負担がかかりそうな皆保険制度に対して前向きではなく、雇用主、個人負担を基本として考えているため国民皆保険制度を促進しようとする動きは見られない。
もちろん保険制度には新たな財源が必要であり、オバマ政権としては高額所得者、製薬会社からの収入、メディケアの無駄をなくすことによる財源確保などが骨子となっている。

あくまで市場経済主体、小さな政府をめざす共和党は民主党に対して財政負担が大きくなりすぎて市場経済の妨げとなると非難しているが、長期的に国民皆保険制度は国民に安心感を与え経済に安定をもたらすのではないだろうか。失業保険と同様病気になっても保険がカバーしてくれれば被保険者にとっても保険料を負担した甲斐があるし、雇用主にとっても負担はあるものの雇用の大きなアピールポイントにはなると思われる。病院にとっても保険非加入者が治療費を支払わないフリーライダー被害を回避できる。

問題はいかにコスト管理するか、過剰医療をコントロールするかである。保険制度全体を国営にするか、民間主導でいくのかはまだ協議されているに違いないがその両方をうまくバランスさせることが出来れば理想的であろう。民間主導だけでは効率性、利潤性を追い求めるあまり、低所得者や高齢者などの医療では弱者に位置する人々が制度からはずされてしまう。国営だと日本を代表するように無駄が多く発生し、コストが大幅にアップしてしまう。

記録的な不況の中で医療保険制度の大きな改革が行なわれようとしていることは興味深い。しかしこの時期を逃したら当分国民皆保険制度は無理かもしれない。


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