プライム経済リポート
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プライム経済レポート 5月号「iPhone」
私は携帯電話にiPhoneを使用している。すでに2年前に発売された第一世代から現在の３Ｇへと買い替えた。個人的にこの10年でもっともインパクトのあった家電製品である。iPhoneは携帯電話であって、携帯電話ではない。電話、メール、インターネット、インスタントメッセージ、アドレス帳、ＳＮＳ，マップ、ミュージックプレーヤー、ビデオ、カメラ、ゲーム機、電話帳、ナビ、辞書、計算機、ダイアリー、オーガナイザー、目覚まし、ストップウォッチ、懐中電灯、コンパスなどその機能の幅広さは驚異的である。
さらに特記すべきはその使いやすさである。最初に購入して家で箱を開くと使用説明書がないのにはびっくりさせられた。「これだけの機能を持った複雑なデバイスに使用説明書がない」と思うと私は少しパニックに陥った。しかしすべての設定はタッチスクリーンで簡単に行え、もしわからなければアップルのホームページでビデオつきの説明が受けられた。またアップルストアに行けばスタッフが解決してくれる。使用中もしわからなくなったら、中央下にあるボタンを押せば必ずメイン画面に戻ってくれる。ご存知の通り米国でも日本でも携帯電話の使用説明書は2cm以上の厚みがある。それをすべて読まれたことがあるだろうか。これまでの個人的経験で言えば2−3ページ読んでみたが、なんのことを説明しているのかよくわからず結局最後までデバイスの機能のほんの一部を理解して使っているに過ぎなかった。
おかげで家族、スタッフを含め私の周囲は多くの人がiPhoneファンとなった。ことにデジカメがうまく使えないメカ音痴の家内でも簡単にすべての機能を使いこなせるようになったことは、このデバイスがただものではないことを証明している。
今後のデジタル機器はこのくらい使いやすくあるべきだという実例といえる。
さてもう少しiPhone の機能について説明すると、携帯電話をはるかに超えている最大の特徴はコンピューターと同様にアプリケーションをダウンロードできるところにある。アップルはアプリケーションの開発には関わらず、ソースコードだけを公表してサードパーティーに委託している。アプリケーションには無料と有料のものがあり、そのジャンルはビジネス、健康、エンタメ、ゲーム、ライフスタイルなど現在20に分かれている。アプリケーションはスタートしてまだ1年に満たないがすでに35000以上が提供され、ダウンロード数は4月に10億を超えた。ソフトデベロッパーは大手ゲームメーカーから個人にいたるまで誰でも参入でき、アップル社が認定したアプリケーションのみがバーチュアルアップルストアを通じてダウンロードされるようになっている。アップル社はアプリケーション売り上げの30％をデベロッパーからレベニューシェアリングしている。このビジネスモデルもこれまでゲーム業界では見られたが、携帯ビジネスでは初の試みで大成功している。
アプリケーションの中で面白いものをいくつかあげてみよう。
平成元号（無料）西暦年数と元号をマッチさせてくれるソフト。昭和を知らない世代には重宝する。
AroundMe(無料) アプリケーションを開くだけでＧＰＳを使って現在位置のすぐ周辺にあるレストラン、ガソリンスタンド、病院、銀行などの場所や連絡先をゲットできる。そのままクリックすれば目的地にナビでガイドしてくれる。White PagesやYellow Pagesなど電話帳ベースのアプリも無料で利用できる。
Quicksheet（$12.99） iPhoneで表計算ソフトが使用可能
Jott(無料) ボイスレコーダーに変身
Print & Share(＄6.99) パソコン上にあるファイルや写真にリモートアクセスして、iPhoneから近くのプリンターで印刷できる。
ユーチューブ（最初から搭載）あらゆるビデオコンテンツにアクセス可能
通貨コンバーター(無料) 世界各国の通貨の換算レートがリアルタイムで表示
スカイプ(無料) WiFiアクセスが可能な場所なら通話可能。スカイプメンバー同士なら通話料金無料。通話先が通常電話ならスカイプアウトを使って海外でも1分2円で通話可能
ＨＰ１２Ｃ（無料）ファイナンスビジネスには必需品である計算機（購入すれば7,000円くらい）が無料で使用できる
ArtEnvi(＄115) モネ、ルノアールなど巨匠の絵画鑑賞でリラックスできる
EarthEnvi($115) 美しい地球のイメージを満載
Pedometer iPhoneに搭載されているモーションセンサーをつかった万歩計
Bloomberg, Wall Street Journal(無料) 定期購読すれば結構高い情報はすべて無料。モバイル用に見やすい画面も魅力。その他New York Times, LA Times, 朝日新聞、読売新聞など多くの大手紙が提供
Etrade(無料) 株式、債券などの売買が可能
オンラインバンキング（無料）銀行の残高照合、口座入出金が可能
i英辞郎（＄900）使いやすい英和辞典。そのほか主要な言語の辞書各種、発音チェック、広辞苑、四字熟語、ウィキペディアなど調べものが間単に
このように可能性は無限である。
アップル社の宣伝をしているわけではないが、これだけの機能を携帯電話のサイズにすべて内蔵させた製品を初めて登場させた技術力はすばらしいと思う。これこそイノベーションと呼べるのではないだろうか。iPhoneの開発にはアップル社ＣＥＯスティーブジョブス氏が最初から最後までその中心となって関与していたといわれる。
同氏の健康状況が危惧されているが、これだけの大企業のトップにありながらいまだに経営方針から商品開発、マーケティング、ＰＲにいたるまで個人パワーを発揮している人物は今ではあまり見られない気がする。ジョブス氏が一度アップルから外れてその間同社がマイクロソフト社に買収されかかった時点から、再びＣＥＯに就いて同社をここまでカムバックさせた功績は大きい。
今後も我々をあっといわせるエキサイティングでイノベーティブなプロダクトを世に送り出してもらいたい。まだトライされてない方は是非一度お試しを！
追記：ビジネス界ではブラックベリーを使用される方も多いが、アプリケーションのダウンロードは限定されている代わりに通常のキーボードがつくため入力しやすいといった違いがみられる。ブラックベリーのファンがおられたらぜひ感想をお聞かせいただきたい。日本では本体価格が高いのと絵文字（絵文字は可能）や地デジ、お財布携帯などが利用できないため人気は今ひとつであるそうだが、次世代のiPhone では日本市場に向けてこれらの課題が解決されるかもしれない。
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